糖魂

音楽と糖分と映画

なんてことない話

それは1年に1度、数日間だけ私達のところへやって来る。

 

鼻の花粉レーダーがピコンピコン鳴り始めた頃、ああ今年もそろそろかな、なんて心が踊る。

 

ただ、今年はまだ4月にならないうちにそのレーダーは鳴り始めた。

 

 

どうやら待ち合わせの時間よりも早く着いてしまうらしい。

 

 

 

誰もが予想した通りそれは3月末にやって来た。

 

 

 

 

心の準備がままならないまま私も会いに行った。

 

 

人々はそれと共に春を迎える。

 

仲間とお酒を飲む人、ぼんやり眺める人、それに会うために遠くの国からやって来た人。

 

それは私達日本人にとってはかけがえのない存在で皆に少しの幸福感を与える。

 

 

 

 

 

 

ただ、今年はあっという間に去って行ってしまった。

 

 

いつもならまだこの時期にもいるのに。

 

 

それはまた来年。と言っているかのように大きな風と共に去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

春は出会いと別れの季節。なんて言葉があるが私達は真っ先にそれと出会い、別れている。

 

 

 

 

 

 

 

 

いつもはただなんとなく別れるのだけれども、来年は会いに行けなさそうなので今年の別れはなんだかいつもより名残惜しかった。